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自動車エンジン スタートストップ スイッチ 〜塗料の巻き込みを防ぐマスキング技術〜

製品概要

自動車のエンジンを作動させるスタートストップスイッチは乗車時に必ずユーザが押す外観部品です。そのため、デザイン性を損なわないための高い外観品質やユーザが押しても傷がつきづらい硬度、長期で使用しても劣化しづらい耐久性などが要求されることが多々あります。

使用箇所自動車のエンジンスタートストップスイッチ
仕様2色成形、UV塗装、特殊マスキング
生産場所美里工場、中国工場

特徴

  1. UVクリア塗装によるハードコーティング
  2. 塗装の入り込みを防ぐためのマスキング技術
  3. 塗装不良対策
  4. 同仕様の製品を日本・中国の両工場で生産

1.UVクリア塗装によるハードコーティング

スイッチの表面部分は操作時に傷がつきづらいようにハードコート塗装を施しており、この部品ではUV硬化塗料を使用しております。UV硬化塗料は表面硬度が高く傷つきづらく、製品の塗料をコーティング後は熱で塗料内部の溶剤を揮発させた後は紫外線を一定時間照射するだけで表面が硬化するという特性を持っています。
塗料メーカーが推奨する一定の膜厚で大量の製品をコーティングする必要があるため、スプレーガンの位置、角度、ラインスピードの塗装設備の設定においてもノウハウが重要となります。

2.塗装の入り込みを防ぐためのマスキング技術

自動車部品は相手部品と嵌め合わせる部分に関しては非常にシビアな寸法精度を要求されます。塗装は10μm(0.01mm)ほどの厚みで塗装を行うため、嵌め合わせ部分には塗料が入り込まないように治具でマスクすることが多々あります。
また、塗装は塗料に空気圧をかけてミスト化して塗布するため、空気の流れにより製品の裏面に回り込みしぶき状に付着することがあります。透明の部品だとユーザが見ると裏面の塗料のしぶきが曇ったように見えてしまい、外観品位を損なってしまいますので治具でマスクする必要があります。空気が流れる部分にはしぶきが入り込む可能性があるため、このマスク治具の設計は非常に重要となります。なお、塗装のマスク治具は東洋加工自社で設計しております。

3.塗装不良対策

塗装では塗膜に異物が混入する不良が多く発生します。カラー塗装の場合、ある程度厚めに塗装することで多少目立ちにくくさせることができます。しかし、クリア塗装となると塗料自体が透明であるため、異物が混入すると隠すことができず不良品となってしまいます。
異物の発生箇所ついては塗料の中に含まれていたり、プラスチック部品についていたりと、塗装環境中に舞っていたりと、様々な要因があるため、1つ1つ地道に対策していく必要があります。
東洋加工は40年を超えるUV塗装の経験があるため、不良低減のノウハウを多く保有しており、高い歩留でものづくりを行うことができます。

4.同仕様の製品を日本・中国の両工場で生産

この部品はお客様が様々な国で生産をされている部品であるため、輸送費を下げるためお客様のご要望を満たすため、日本と中国の両工場で同じ仕様の部品を加工しています。もちろん日本、中国で要求される品質レベルは変わらないため、中国工場でも高品質でものづくりができるように日本側からもサポートを行い、日本、中国ともに高い歩留で加工をものづくりを実現しています。


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