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自動車 エアコン操作スイッチ 〜バックライトで光る金属調部品〜

製品概要

自動車はユーザが長く乗り続けることができるようにインテリアパーツにも様々な工夫が施されており、デザイン性や機能性が重視されます。弊社が得意とする真空蒸着はプラスチックの部品に高熱で気化させた金属膜を成膜する工法なのですが、成膜の際に膜厚をコントロールすることができます。意図的に金属膜を薄く成膜した製品は、一見、ミラー調の部品に見えますが、部品をバックライトで照らすと金属膜部分から光を放ち始めます。弊社はこの工法をハーフ蒸着と呼んでいます。

使用箇所自動車 エアコン操作スイッチ
仕様2色成形、ハーフ蒸着
生産場所美里工場

特徴

  1. 光の透過率の仕様を決める前の注意事項
  2. 真空蒸着加工時の金属膜厚のコントロール
  3. 2色成形との組み合わせにより光漏れを防止

1.光の透過率の仕様を決める前の注意事項

ハーフ蒸着にてバックライトで光を透過させる部品を作る際は、ご要望の明るさを表現するために透過率を指標として仕様の取り決めを行います。透過率とは光が物質を透過する前と透過した後の通過の割合を数値化したものです。透過率が低いとバックライトを照らした際の光が暗くなり、透過率が高いと光が明るくなります。しかしながら、透過率が低いということは金属膜が厚いということであるため金属感は高くなります。また、使用する蒸着材料がスズやインジュームを使用する場合ですとバックライトで照らした際に金属が元から持つ色味が出てしまい、狙い通りの輝度や照光色に合わせることが難しくなることがあります。前述した金属と比較すると輝度や照光色のコントロールがしやすい蒸着材料としてはアルミが挙げられます。しかし、アルミの場合は、静電気対策などが必要な場合は採用できないこともあるため、事前に仕様を細かく確認させて頂き、最適な材料と工法を選定する必要があります。

2.真空蒸着加工時の金属膜厚のコントロール

透過率の仕様が決まった後は、量産加工で透過率が規定範囲から外れないように金属膜厚を管理をしていくことが重要となります。真空蒸着で成膜される金属の膜厚は非常に薄く、Å(オングストローム)という単位で表されます。光を透過するハーフ蒸着の金属膜厚は約500Åほどであり、mm単位に換算すると0.00005mm、μmに換算すると0.05μmの薄さとなります。かなりの薄さであるため、日常的に金属膜厚を測定して部品を保証することが非常に難しいので、透過率に置き換えて部品の仕上がりを保証しています。
透過率は真空蒸着設備の中でもバラつく可能性があるため、設備内の複数の位置に透過率を測定するためのテストプレートを配置し、設備内で透過率に異常が起きていないかを常に確認しながら量産加工を行なっています。

3.2色成形との組み合わせにより光漏れを防止

ハーフ蒸着仕様の場合、部品をバックライトで照らす必要がありますが、部品によっては光を透過させたい場所と透過させたくない場所が存在することがあります。光を透過させたくない箇所がある場合は、一度全面を黒塗装を施し、光を透過させたい箇所の黒塗装の塗膜をレーザーで剥がしてからハーフ蒸着を施すという方法もあります。しかし、この方法を使うと加工工程が長くなる上、塗装不良発生のリスクも高くなることから部品単価が高くなってしまいます。これらの改善策としては、2色成形とハーフ蒸着を組み合わせることが挙げられます。2色成形で光を透過させたい箇所は透明もしくは白色の樹脂材料で成形し、光を透過させたくない箇所は黒色の樹脂材料で成形します。その後は一般成形品と同じようにハーフ蒸着加工を行うだけで狙い通りの部品を作ることができるため、黒塗装+レーザー工程を削減できるとともに、不良のリスクも低減することができます。形状によっては2色成形できない場合もあるので、仕様検討段階でご相談を頂ければ弊社の方で対応可否について判断をさせて頂くことは可能です。


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