カメラ

カメラ部品 〜ツブツブ感のある特殊な塗装工法〜

製品概要

カメラはボディやレンズ、フレーム、スイッチなどかなり多くの部品で構成されています。カメラのデザイン性を損なわないためにもこれら全てのパーツは同じ色味、ツヤで塗装を行い、統一感ある仕上がりにしなければいけません。そのため、シビアな色とツヤの管理、膜厚コントロールが求められる分野です。
また、塗装を施す素材についてはプラスチックや金属などがあり、素材によって密着性の良い塗料の選定が必要となります。

使用箇所カメラレンズのフレームやボディ/スイッチなど
仕様黒塗装
生産場所美里工場

特徴

  1. カメラを構成する部品に求められる色とツヤの管理
  2. ツブツブ感のある特殊な塗装方法<プロット塗装>
  3. アルマイト素材への塗装

1.カメラを構成する部品に求められる色とツヤの管理

カメラの部品は多くの部品で構成されていますが、部品を制作しているメーカーは複数社に渡ります。各社が製作した部品の色やツヤがバラバラだと、カメラを組み立てた際に見た目やデザインに統一感がなくなり、ブランドイメージを損なう危険性もあります。そのため、お客様より色やツヤの表現についてはシビアな管理を要求されることがあります。
基本的には量産前の立ち上げ時期に、色やツヤのバラつきの上限と下限を意図的に表現した見本を製作し、お客様と量産としてOKの範囲について取り決めを行います。量産中では塗装時の塗装膜厚のバラつきによって色やツヤが変動する可能性があります。そのため、塗装設備のスプレーガンの位置や角度を調整して最適な設定条件を決定し、量産塗装開始時においても膜厚計を使い、適切な膜厚で塗料が塗布できているかを確認することが重要となります。

2.ツブツブ感のある特殊な塗装方法<プロット塗装>

一眼レフなどのカメラは高級感や立体感を表現するために、表面がツブツブとしたマット感がある仕上がりになっているものがあります。この塗装はプロット塗装と呼ばれる特殊な塗装技法で、ツヤ消しの黒塗装の上にツブ感を表現するための黒塗装を施す工法です。塗装でツブ感を表現するためには、塗料の粘度やスプレーガンのエアー圧のパラメーターを調整して塗料の粒径をコントロールする必要があります。塗料はエアー圧をかけることで細かい霧状に変化させたり、塗布範囲を広げたりすることができます。これらの調整要素をもとにお客様が求めるツブツブ感を塗装で表現することができます。

プロット塗装 表面状態

3.アルマイト素材への塗装

デジタルカメラの筐体にはステンレス材やアルマイト処理を施したアルミ材が使用されることがあります。アルマイト処理とは、アルミニウムに酸化皮膜を生成させ、耐食性や耐摩耗性、絶縁性などを向上させます。この際にアルマイト皮膜に染料を吸着させることで様々な色を表現することができます。しかし、アルマイトでの染色だけだと高い光沢感の表現ができなかったり、傷がついた際に色が剥がれ落ちてしまうことがあります。これらについては、アルマイト処理を施した金属部品にクリア塗装を行うことで光沢感を表現したり、ハードコート層に保護されることで傷により色が剥がれることを防ぐことができます。金属に塗装を行う場合は、密着性が良い塗料を選定しなければ、塗膜が剥がれて落ちてしまうなどの不具合が発生してしまうため、実績を重視して塗料、塗装メーカーを選定することが重要となります。


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